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◆ 歯周病が全身に影響を及ぼす?!
歯周病は自覚症状があまりなく、いつの間にか悪化しているというのが特徴です。すべての歯に5mm程度の歯周ポケットがあるとすると、その内面積を合計すると約72cuにものぼるといわれています。たとえ本人の自覚はなくても、その歯周ポケットの中では細菌と体との、
果てしない戦いが繰り広げられているのです。歯周病が全身に影響を及ぼすメカニズムとして、口腔内の細菌自体が他の臓器に感染する歯性感染症と、歯周病巣の細胞が過剰につくりだした炎症物質や過剰活性化した白血球が、血管を通って他の臓器に移行して影響を与えるものもあります。口の病気とあなどっていたら、やっかいな病気を起こしかねませんのでご注意ください。
―【歯性感染症】
歯周炎にかかっている患者さんに、歯石除去や歯周外科処置をすると、歯周病菌や連鎖球菌が血液中に侵入して菌血症になることがあります。通常は問題ありませんが、免疫カの低下した患者さんの場合には、心内膜炎を引き起こすリスクが高いといわれています。また、歯周ポケットの中にできた歯石は、周囲の軟らかい組織を傷つけ炎症を起こしますが、その際に細菌が血管内に入り込み、心臓弁膜症や腎炎を起こすことがあるといわれているので注意が必要です。細菌に感染することは、老人介護施設などの患者さんにとって死につながる深刻な問題です。感染源としては、口の中、とくに歯周ポケットが疑われていますが、実際、脳あるいは肝臓の膿瘍から口腔細菌が見つかっていると報告されています。とくに、免疫カの低下した患者さんでは、口腔細菌による菌血症、敗血症が起こりやすいと考えられます。
―【心臓血管疾患】
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最近、歯周病がリスクファクターとなりうる病気として、心臓血管疾患が大きく取り上げられてきました。この病気に関与するメカニズムは、歯周病菌によって歯ぐきに炎症が起きると、血液中の繊維素が増加して血液の流動性が悪くなり、また同時に動脈も硬化させます。その結果、血管内に血栓ができて心筋梗塞や心臓発作といった病気が発症するのです。 |
―【糖尿病】
糖尿病の患者さんは、歯周病にかかると重症になりやすいことが知られています。また一方で、その患者さんに抗生物質を用いた歯周病治療すると、血糖コントロールの改善に寄与することが報告されています。このことから、歯周病が糖尿病のリスクファクターとしての要素があることも考えられています。
―【誤嚥性肺炎】
これは、食べ物や唾液が誤って気管支に入ってしまうために起こる肺炎のことです。最近注目されているのは、お年寄りや食べる機能に障害のある人が眠っている間に唾液を誤嚥してしまい、唾液中に含まれている口腔内細菌によって肺炎を引き起こしているということです。歯周病を放置したまま、しかも口が汚れたままになっていれば、このような人たちが肺炎を引き起こすリスクは、さらに高まります。
―【低体重児出産(早産)】
| 歯周病にかかった母親は、早産や低体重児を生むリスクが高いことが報告されています。研究では、低体重児早産をした妊婦の羊水から、歯周病菌が検出される頻度が高く、さらに、この細菌は、口の中から血液をとおして侵入した可能性が示唆されています。また、母親の歯周ポケットの炎症物質の量は、正常児を出産した母親に比べると多いことも、妊産婦の口腔内調査によって明らかになっています。 |
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◆ 全身から歯周病に影響が及ぶ場合もある?!
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全身的な病気がある人は、それによって歯周組織の代謝が障害を受けたり、組織修復能カや生体防御反応が低下するということが報告されています。これまでの研究によって、歯周病に影響を及ぼす全身の病気や生活習慣がいくつか分かってきました。その中でも、リスクが高いといわれているのが糖尿病と喫煙です。また、ストレスや骨粗鬆症も最近注目されるようになりました。 |
―【糖尿病】
糖尿病の患者さんは、歯周病にかかっている割合が大きく、ふつうの人の2.3倍ともいわれています。その歯ぐきは熟した柿のような赤味をおび、しまりがなく腫れています。また、歯周ポケットが深く、歯ぐきを押すとポケットから膿が出てきます。そして独特の口臭があります。
糖尿病によって高血糖状態が続くと、体の機能が低下し、生体防御反応が鈍くなってきます。また白血球は、ふつうの人の白血球よりも過剰な炎症物質をつくりだし、歯ぐきや歯槽骨の破壊をすすめます。また、歯周組織の傷も治りが悪くなると考えられています。しかし、血糖値がコントロールされた患者さんでは、口腔内のケアさえ十分に行っていれば、リスクが下がることも報告されています。
―【喫煙】
タバコは体に悪影響を与えますが、最近の調査によると、タバコを吸う人は歯周病の危険が2倍〜9倍に高まることが判明しました。また、かかりやすいだけではなく、治療後の回復も悪いという研究も出ています。さらに、歯周組織の破壊も高まり、喫煙が歯周病に与える影響
は、その量に比例しているといわれています。喫煙は血管を収縮させ、見かけの歯ぐきの炎症を少なくします。しかし、白血球のはたらきや免疫カを抑制して、生体防御反応のバランスを崩します。そのメカニズムは、タバコに含まれるニコチンが歯槽骨の吸収を引き起こす炎症物質を増加させ、さらにニコチンやその代謝物などが歯周組織に悪影響を及ぼし、歯周病の治癒を妨げるというものです。
―【心理的ストレス】
ストレスが歯周病に関係するメカニズムとしては、心理的な原因により中枢神経が影響を受け、免疫機能が正常に働かなくなることが考えられます。つまり、ストレスが持続すると脳の一部に影響を及ぼし、副腎皮質ホルモンの分泌を亢進させ、白血球などの機能を阻害するのです。ストレスにうまく対処できない人は、唾液中の副腎皮質ホルモンの濃度が高く、この過剰分泌が歯周病の進行に関係しているといわれています。また、ストレスによる過食や脂肪の多い食事が副腎皮質ホルモンの分泌をいっそう亢進させることもあります。さらに、ストレス
によるさまざまな行動変化(喫煙、口腔衛生不良等)といった間接的な要因も歯周病のリスクを高めますので注意が必要です。
―【骨粗鬆症】
骨粗髪症は、骨量の減少により骨が脆弱になって、骨折しやすくなる病気です。原因としては、加齢、遺伝的要因、喫煙、運動不足およびカルシウム不足などで、最近は歯の喪失も加えられています。とくに女性では、閉経前後からの女性ホルモンの消退が影響を及ぼし、骨量減少が多いとされています。歯周病は、歯周病菌による感染症ですが、歯槽骨吸収を伴うこと、加齢とともに重症度が大きくなることから、歯周病と骨粗鬆症は関連があると考えられています。骨粗鬆症には、女性はもちろん男性も、若いうちからカルシウムやビタミンDが不足しないよう栄養補給を心がけ、体の健康をととのえることが大切です。
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